身体の動かし方について


  身体駆動について、「見せるについて-本物とは何かを考える(2004年12月1日)野川栄一」から内容の一部を抜粋し論を展開します。

  「技の成り立ちに合わせた身体の動かし方」とは、「自分の自然に動く身体の動かし方ではなく、自然には動かない身体を、技の展開に合わせ、技のあるべき展開に沿うように身体を動かすことである。人間には自我が備わっている。この自我(意識)を制御し、自我を超えた先の自己、この自己(意識と無意識)を信じて(味方につけて)、技を自分の身体に染み込ませるのである。技の徹底的な反復稽古によって、古の武術家から脈々と受け継がれた技は“本物”の技となって、自分自身の身体に備わるのである。」

日々の稽古を重ねたうえで演武会に臨む場合であっても、「演武会の技と日々の稽古の技は同じ」ではありません。二つの技の決定的な違いは、技を見てもらうという自我が強く働く技か、技に向き合って技の展開を強く意識する技かどうか、です。「古流武術の範疇に入る武術において、技の優先度をどちらにするかで武術の方向は全く異なる。」のです。武術の効用を「現代社会を生き抜く知恵」とするならば、「日々の稽古を重視している古流武術」がその役割を多く担っていると考えています。

                      相久 令和五年二月 

松道流 護身武道 松栄館

当流HPをご覧いただき、ありがとうございます。 当流は昭和18年、旧水戸藩士・武石謙太郎兼相居士の弟子・松本貢兼久が無比流、浅山一伝流、兼相流等諸術を総じて創設しました。身体操法の振り返りにより、日本古来のエッセンスを身につけ、実生活での向上を目指しています。