杖と言えば~


 旧本部道場の名札欄の右下側だったかと思いますが、幹部欄がありました。

 ぼくの記憶が正しければ、順に山本先生、石原先生、鈴田先生、真間先生、正木先生、伊坪さん、野川先生とお歴々の名前が連なったと思います。

 若先生時代には、宮崎先生が加わり、いっとき松本(圭司)さんが副館長をされました。

 先日、稽古会で杖を指導していると「杖といえば正木先生が一番で、昔は大先生をして『正木さんの杖は兼相先生瓜二つ』といわしめた」と、口にしました。

 口にしてからハッとしました。

 しまった!先生から武号もらったのに、幹部の先生に報告してない!

 となり、三世に相談したところ、

 しまった!武徳会から範士八段もらったのに、正木館長に報告していない!

 となり、三世から急ぎ正木先生に連絡をいれ、挨拶に伺う日程の段取りをしました。

 正木先生はたいそう喜ばれ、杖の一本でも見せられればいいね、とおっしゃってくれました。

 当日、円流明鏡館に伺うと、正木先生が大事をとられてこられず、副館長の蔵並先生と、古参メンバーの松崎先生と三世が懐かしそうに話されました。

 また円流方々の稽古を見学させて頂き、私どもにとっても大いなる励みとなりました。

 

 帰り道にどうしても正木先生のお加減が気になり、ご自宅を訪ねました。我々の心配をよそに正木先生は矍鑠しておられて、絵画の創作に集中されておられました。

 正木先生からの飲みの誘いに、うっかり乗っかろうとした僕を制した三世と帰り道に、正木先生のご年齢について注意を受けました。

 ずっと三世が40代半ば、正木先生は70代手前のつもりで接していましたが、もう20年の歳月は過ぎていたのです。

 大先生時代の幹部で表立って指導されておられる方が、いよいよ正木先生だけとなりました。

謙久

令和6年5月18日

三世のお供で正木先生宅をお尋ねした帰りにて

松道流 護身武道 松栄館

当流HPをご覧いただき、ありがとうございます。 当流は昭和18年、旧水戸藩士・武石謙太郎兼相居士の弟子・松本貢兼久が無比流、浅山一伝流、兼相流等諸術を総じて創設しました。身体操法の振り返りにより、日本古来のエッセンスを身につけ、実生活での向上を目指しています。